機械はSINGERモデル66、台の引き出しが2段の足踏みミシンです。こちらはアメリカ製になります。英米独いろいろと出身地がありよくお客様に「どう違うの？」と尋ねられますが、基本的な機械の構造は同じ年代であれば同モデルで差はなく、大抵は絵柄が違うだけです。こちらは通称レッドアイと呼ばれるオリエンタルな雰囲気の絵柄で、赤や緑が鮮やかに映えています。またフェイスプレートの彫金も違います。細かい部品の違いもありますが、見た目以外の機械やその使用法は同じなのです。

　機械は分解掃除をして調整および消耗品は交換しました。機械の油がたまる場所の汚れ・釜の埃などを取り除き、動作や縫製に影響が出ないようにしております。消耗品については、家庭用ミシン針・ボビンなど市販されているものが使用できます。ボビンはシンガー水平釜専用のものを使用します。ボビンケースが不要なのも使い勝手の面で魅力がありますね。

　ミシン台はさすがに数十年経って塗装が劣化してはがれている部分もありましたので、全体を研磨して補修し、当店オリジナルの天然ステインで下地を整えてシェラックニスで再塗装をいたしました。シェラックニスは古くから使用される天然樹脂の塗料で、アンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。天然素材で石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。脚も分解掃除をして調整をしました。機械との連動もチェック済みです。

　機械が同じ足踏みミシンは台の引き出しの段数で価格差があったようです。5つも引き出しがあればかなり裁縫の道具が入りますよ！